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平成11年8月7日

第5回福祉サービスの質に関する検討会(議事要旨)


1 日時 平成11年2月17日(木)10:00〜12:00
2 場所 厚生省共用第13会議室
3 参加者 石橋、江草、奥野、柏女、北野、坂巻、杉村、武居、外山、中島、橋本
4 主な発言

(発言1)

○ 第三者の評価は必要で意味のあることだと思うが、それが事業者の取組を促進することになるかどうかは問題である。たとえば、JCAHOの評価を受けている病院は全体の97%位なのに対しナーシングホームは8,9%位と聞いている。そうすると、第三者の評価だけで事業者の取組を促進するというのはつながりにくいのではないか。第三者評価も事業者の取組も重要なことではあるが、あまり関連づけない方がよいのではないか。
(発言2)
○ インターネットなどで一般に公開するとか、保険者を介して評価技術に使うなどといったことを介して初めて、第三者評価と事業者の取組がつながるのではないか。
(発言3)
○ 確かに、第三者評価という手段を使うこととよりよいサービスを提供するという目的を達成することの間には何らかのものがあるが、それは今の時点では明確にしなかったということでよいのではないか。
(発言4)
○ 理念の一つとして「プライバシーの尊重」は明確にする必要があるのではないか。
○ 利用者の立場に立って評価を行うことができる者が評価を行うことについては、今後非常に権利意識が強くなる高齢者が増えることも考えると、利用者が常に正しいのかは疑問である。第三者の目で見るのがオンブズマンであって、アドボカシーとは違う。第三者評価というのは、代弁するものなのか、市民常識の目で判断するものなのか、区分して考える必要があるのではないか。
○ 最低基準に抵触する事例を行政庁に情報提供した際、行政庁はそれにどのように対応できるのか。行政処分など公的なもの以外に、公表などで市民の判断を仰ぐというもの方法の一つではないか。
(発言5)
○ 権利擁護、苦情解決の仕組み、事業の透明性の確保といったこともサービスを考える上では大事であるが、この検討会では特にサービスの質の向上という観点で議論をいただいている。
○ プライバシーの尊重については、利用者本位のサービス論にまさに内包されている問題であると考えている。
○ 利用者の意見をどう採り入れるかについては、委員の間でも意見が異なっている部分もある。この点は、第三者評価を考える上では本質論ではないかと思う。今回は、利用者の代表をどうするかという方向ではなく、利用者の側からの意見も言える者がチームを組織して評価を行うのがよいのでは、という方向で議論を整理している。
(発言6)
○ サービスの評価をする時に利用者の満足度を聞くことは必須だと思うが、その効き方は難しい。しかし、利用者も賢くあるべきであり、利用者集団として自分たちの意見をチェックして、これが妥当ではないかというものを出していくというような工夫もあるのではないか。
○ 福祉サービスはこれまで専門家など外部の者が規定してきた経緯があり、当事者参加という観点からも、第三者評価をする評価者の中にも利用者の立場を代弁できる者、利用者の代表を入れることが重要だと思う。ただ、人選は大変だと思うが。
(発言7)
○ 評価者については、必ずしも利用者、代弁者でなくても、たとえば職員でも絶えず利用者の立場に立った姿勢を持っているということではないかと思う。
○ 第三者評価の実施方法について、今は「一定の手順」に基づいて行うとしか整理していないが、現時点では望ましい手順と考えておいて、具体的内容は今後検討していこうと思う。
(発言8)
○ 私は高齢者施設を時系列的に定点観測のように調査し、生活拠点を地域から切り離されて施設で暮らし始めた方がそこにもう一度根を下ろして施設になじんでいくプロセスにはどのような条件が必要なのか、そこに入れられてどのようなことが生命力をしぼませることにつながっているのか、ということを見てきた。
 その際気づいたことは、日本の社会福祉施設の物理的環境が貧弱な理由として考えられることとして、まずホスピタルモデルが源流にあったことがあるし、また、利用者が計画のプロセスに一度も乗せられたことがない、ということがある。
 つまり、施設を建てるに当たっては、医師や管理者が利用者の意見を代弁していることになるが、実際は利用者の心の底にある願いは代弁していない。利用者は、ものをいわない、人質状態でものをいえない状態にある。利用者が職員の耳元で「私は本当はこういう風にしてもらいたいんだ」ということをいえる施設がよい施設だと思う。
 そのように、利用者がどうしてほしいかいえる施設でないと、どんなにサービスが良くても、利用者の生命力はしぼんでしまう。どんなにサービスメニューをそろえても、利用者自身が「ここで役割を果たしていくんだ」と思えない限り、利用者は生命力を失ってしまう。
○ そうした点が評価にそのように反映できるかを考えたときに、家族が本人を代弁したり、介護者や専門家が本人を代弁したり、代弁が多すぎるのではないか。本人が本当に願っていることをじっくり聞いてあげることができず、全部先取りして規制してしまうこととも無関係ではないと思う。そのあたりがおかしいのではないかと思う。
(発言9)
○ 福祉サービスには、利用者が何かをしてもらうというほかに、サービスの参加者、つまり施設の利用者がそこでネットワークを作っていくという特徴がある。医療でもよく言われることであるが、患者本人の参加がなければいい医療ができない。患者自身の努力が重要だということが見直されてきている。
 ただ、医療の場合は知識が偏在しているので、第三者評価で情報を患者に提供して選んでもらうということになる。一方、福祉の場合は、本人の参加、生活の再構築といったことをどのように評価に取り込むかという問題になる。
(発言10)
○ 社会福祉基礎構造改革において一番重要なポイントは、サービスの利用者と提供者の対等な関係の確立ということであるが、そこを第三者評価でどう具体化化していくかが重要である。利用者の主体性の回復、エンパワメントという視点から第三者評価を行っていくことを理念として整理してはどうか。
(発言11)
○ 評価には、第三者評価だけではなく、自己評価、利用者による評価、法的な基準による評価などがある。その中で、第三者評価は、言葉の筋からいえば、どの立場にもたたない評価ということになる。利用者を代弁するのが第三者評価かといえば、それは利用者の立場に立った評価であり第三者評価ではない。
(発言12)
○ むしろ、評価を受ける施設の利用者と評価者が徒党をくんでということではなく、普遍的なサービスを利用する側の視点を持ってということではないか。
○ 評価者について、専門家とすると、何らかの資格を持った者という印象が強くなってしまうので、「訓練された住民委員」というものを加えてよいのではないかと思う。
(発言13)
○ たとえば、ボランティアであっても、定期的に長期間きている人に対しては、施設もよそ行きのしようがない。そのうちにそうしたボランティアの発言が重みを増してくる。そうしたことを「ある種の経験を持った」と表現できるのではないか。
(発言14)
○ 生活感覚がきちんとしているという意味で、「生活者」ということか。
(発言15)
○ より利用者のニーズに近い者は誰かと考えたときに、それは本当に専門職なのかという疑問はある。そのニーズを理解している者の中に、サービスの利用者、家族、地域住民が一定のオーソライズをされて組み込まれる必要はあるのではないかと思う。「ユーザー代表」あるいは「住民代表」といった表現がよいのではないか。
(発言16)
○ 評価するチームの中に市民の代表やユーザー代表が入っているという整理にしたらこれまでの議論が生きてくるのではないか。
(発言17)
○ 知識や経験だけでなく、利用者の視点を持って評価できることが必要なのではないか、ということは共通していると思うので、そのような表現で整理しておいて、必要があれば4月以降議論を深めていけばよいかと思う。
(発言18)
○ 「消費者の立場に立つ」ということには賛成だが、具体的にどうするのか。議論を刺激するためにいうと、消費者は全然参加する必要はないのではないか。その人が施設を選ぶときに、たとえば情報を提供するシステムが整備されていれば、その人は施設を選ばないという選択ができる。こうしたことも評価の仕組みに入れるべきではないのか。
 つまり、「立場に立ってやる」というのは、方法論の問題になる。たとえば、モニターの方法、目安箱、利用者への電話インタビュー、フォーカスグループ(関係者を集めて意見を聞く場)、アンケートなどがあるが、最近の病院の利用者満足度を 定する方法は、それらの方法の長所と短所を組み合わせながら測ることであ る。そうした仕組みを施設の中に持っているということが、評価の基準になるのではないか。
○ 病院とは違い、利用者は生活者として施設へ住むというサービスの違いを基本的考え方として盛り込んでおく必要があるのではないか。
(発言19)
○ そのようなシステムをどのように担保するのか。その方法の一つとして住民なりを評価者に入れるということがあり得るのかなと考えている。
(発言20)
○ 利用者の視点に立つことが必要なことは間違いない。しかし、利用者が評価に入るというシステムがよいのかわからないということである。むしろ、評価情報がインターネットなどで提供されて、利用者が選択するというシステムがあった方が利用者の立場に立った評価のシステムになるのかもしれないと考えている。
(発言21)
○ 福祉サービスの質の向上に関する条件を、その施設の現状と質を向上させようとするシステムがあるかないかということを含めて、事業の透明性の観点から情報公開すればよい、ということであろう。
(発言22)
○ 最低基準を遵守させること、監査などを通じて違反事項を見つければ是正させるということは行政の責任であるが、第三者評価はそうではなく、むしろ望ましい方向に誘導していくためのものである。従って、行政庁への情報提供は本来は最低基準違反とは別の問題ではあるが、仮に評価の過程のなかで違反事例が発見された時は行政庁に情報を提供してもらう、という考え方である。是正などはあくまで行政庁の責任でする、という整理でまとめている。
(発言23)
○ 行政庁としても、ただもらっただけ、というのはどうなのか。
(発言24)
○ 利用者などからの情報も行政監査を行うときの重要な情報になるわけであるが、評価の過程での情報提供もその一つと考えている。もちろ んこれだけですべてが解決すると考えている訳ではない。
(発言25)
○ 評価結果の活用について、公的機関、インターネットなどを利用して利用者がいつでもどこでも自由に情報を引き出せるようにするといった結果の公表について具体的に明確にする必要があるのではないか。
○ 事業の透明性の確保の方策の中で情報公開のガイドラインというものは作られているのか。
(発言26)
○ 情報公開については、社会福祉法人の経営情報、社会福祉事業におけるサービスに関する情報を提供するという方向で検討している。
○ 第三者評価の結果の活用については、具体的な問題点を把握して改善につなげるとか、利用者の選択に資するとかの目的に沿って活用することを考えている。具体的にどのような形で事業者に伝えるか等については今後の議論が必要だと思っている。
(発言27)
○ 施設、設備、人員配置などの外形的基準についても、この検討会で今後やるということなのか。
(発言28)
○ 外形的基準については、各施設、サービスごとに、それに関わっている当事者が入った形で検討を進めていかざるを得ないと考えている。
(発言29)
○ たとえば、学校に関していえば、学生は消費であるのに、成績評価など学生にとって教員は大きな権力を持っている。そのイメージが施設にもあり、対等の関係といいながらサービス提供者は強い力を持っている。従って、まず「利用者の権利」をうたっておかないと、利用者がいつも弱い立場に置かれることになってしまう。権利侵害など、何かあったときの原点として戻ってこられるように、利用者の基本的な権利をふまえているということを明確にしておく必要がある。
(発言30)
○ 利用者の権利については、社会福祉基礎構造改革そのものが、新しい福祉社会、福祉文化を創造しようとする中で、人間は尊重されるべきであるという理念に貫かれている。
(発言31)
○ サービスに関する基準という表現を使用し、「最低基準」と明記しなかったのはなぜか。
(発言32)
○ 評価情報の提供の部分では、行政権限を発動するものとして、「最低基準」と表現している。
○ 介護保険の下での特養の例では、最適基準と指定基準との2本立てとなる。特養を運営する上で絶対守らなくてはならないのは最低基準であり、行政が権限を発動するのは、最低基準の問題である。しかし、介護保険のサービスを提供するには両方を最低限遵守している必要があるわけで、「サービスに関する基準」は、法令的に「最低基準」「指定基準」などの形で整理することができるということである。

(発言33)

○ サービスに関する基準に盛り込むべき事項の中では、職員の倫理綱領などの明文化が一番はじめにくるのではないか。それがあった上でサービス提供過程が考えられるのではないか。
(発言34)
○ その通りであると思う。特に専門職団体、専門職の側からそのことを大事に考えたいと思っている。
(発言35)
○ 施設のサービス指針なり運営指針なり、サービス利用者の権利性の担保なりが最初にあり、次にサービス提供過程が考えたられるべきなのであろう。
(発言36)
○ 自己評価についてもいえることではあるが、公表の仕方については、とても難しい。公表すること自体については明確化しておく必要があるのではないか。
○ 第三者評価を受けることの義務性、「受けることが前提である」というような方向も明確にしておく必要があるのではないか。
(発言37)
○ 評価を受けることを義務化する事は、社会福祉基礎構造改革の流れの中では必ずしもそのような方向ではないのではないか。
(発言38)
○ 義務というのは難しいと思う。「第三者が客観的に評価する仕組みを設け、サービス提供者がそれを利用することを前提としてよりよいサービスの提供の事業者の取組を促進する」といったまとめ方は可能ではないか。
(発言39)
○ 第三者評価は、時間的な経過の中ではすべての事業者が受けるようになると思うが、それまでの間に、第三者評価を受けていなければわけのわからない施設だと思われるような市民側の雰囲気が醸成される方がよいのではないかと思う。時間はかかるとは思うが。
(発言40)
○ 結果の公表については、まだまだ閉鎖的な面があり、情報公開のオンブズマンによって情報がオープンにされている現状がある。そこで、施設が主体的に情報提供をしていかなければならない、という意味で情報の公表について明確化する必要があるのではないかと思う。
(発言41)
○ 第三者評価の実施体制については、大変な問題があると思う。アメリカの場合は保険者がタイアップしたので医療機関が皆受けることになった。しかし、評価期間にはサービスの質の向上という面からは適切なアドバイザ−がいるわけではなく、いわば丸適マークのために膨大な人員を抱えて情報を整理しているということであり、現在は、医療機関から自分たちが努力してサービスの向上をやっているのになぜあえて大枚を払って評価を受けなくてはならないのか、という反発が起こっている。
 日本の医療分野でも、第三者評価機構は苦労している。受ける必要のない様な病院が手を挙げて、受けるべき病院が手を挙げず評価を受けていないという現状があり、結局何のために金を払うのか、という問題になる。そこで、保険者とのリンクが気になっているところである。
 今後、保険者機能の強化が期待され、医療の内容、診療内容にまで踏み込んだ指導が保険者から行われることが期待されている。そのような保険者とリンクするかどうかは第三者評価の議論の分かれ目なのだろうと思う。
 (座長より、最後に何か意見として付け加える意見があれば発言てほしいとの提案)
(発言42)
○ 利用者の基本的権利や主体性の回復の視点の重視ということを明確にしてほしい。
(発言43)
○ 評価機関の要件として、倫理性も加えてほしい。
(発言44)
○ 第三者評価だけでなく、自己評価、利用者による評価の仕組みについても言及するべきではないか。
(発言45)
○ 評価の実施者の問題と、利用者の意見を評価にどう反映させるかという具体的システムの問題は区分して考える必要があるのではないか。
○ 自己評価の中には当然利用者の意見を聞いて評価することも入ってくるので、事業者自身の自己評価のやり方のこれからの議論の中で取り扱うことになると思う。
(発言46)
○ 施設のサービス指針、全体のサービス利用者の権利の明示、利用者の委員会の設置などサービス提供の方向性をきちんと示しているかについても、基準として明確にする必要がある。

5 基本方針のとりまとめについて

 基本方針のとりまとめ、公表の時期及び方法については座長に一任することを確認。

6 次回以降の予定について

 新年度以降、サービスに関する基準、評価基準などについて具体的な検討をしていくことを確認。

7 社会・援護局長あいさつ

以上


照会先 社会・援護局施設人材課
    樫岡宗吉(内2862,直3595-2616)


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