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第16回中央社会福祉審議会
社会福祉構造改革分科会議事要旨

1.日時 平成10年11月26日(木)14:00〜
2.場所 厚生省特別第1会議室
3.出席委員  (五十音順)
阿部、有馬、石井、板山、江草、上村、喜多、木村、永松、野中、橋本、福武、桝本、三浦、村田、山口、吉村の各委員
4.議事
(1)第15回の議事要旨について確認
(2)検討状況の報告に関する審議

5.審議の概要

(発言1)

○ 今回の改革が公的責任の後退を招くのではないかという懸念が寄せられているが、これと併せて、利用者負担の増大を招くのではないかということを危惧しているという話をよく聞く。
○ サービス提供体制の整備とあわせて、利用方式が煩雑な手続きにならないような配慮も必要なのではないか。
○ 多様な主体の参入を促進するに当たり、特別養護老人ホームが生活の拠点であることなどに配慮すべきという意見については趣旨がよく分からない。十分な説明が必要ではないか。
○ 地域福祉計画は社会福祉事業法上、都道府県や市町村に策定を義務づけることができるのかどうかという点が重要であるが、どのような法定化を考えているのか。障害者基本法では、計画策定は努力義務とされているため、現在でも3分の1程度の自治体しか策定していないことから、地域福祉計画については、事業法上、義務規定にする必要がある。
○ サービスの利用制度における指定事業者については、指定を受けることができる主体や基準をどのような仕組みとして考えているのか。

(発言2)

○ 地域福祉計画については、都道府県、市町村に策定を義務づける方向で検討している。
○ 指定については、一定の基準を満たす事業者を指定し、その事業者により提供されるサービスを利用した者には利用料を助成することを考えている。したがって、現行で言えば、最低基準のように、事業者が指定を受けるためには、指定基準の内容を遵守しなければならない仕組みとなる。

(発言3)

○ 特別養護老人ホームは、在宅福祉サービスとは異なり、身体上又は精神上著しい障害があるため常時介護が必要である高齢者が、生活拠点を移して入所する施設であり、事業の安定性や継続性が特に強く求められる。したがって、民間企業の参入については、入所者保護の観点から懸念があると考えている。
○ 特別養護老人ホームについては、介護保険制度の導入により、利用者の選択によって今まで以上にサービスの質の向上が図られるようになる。
○ 社会福祉法人には、過疎地等採算性が低いところでのサービスや処遇困難な者に対するサービスの提供など引き続き公益性の高い役割が期待されていると考えている。

(発言4)

○ 本年3月の規制緩和推進3カ年計画で、「社会福祉事業の在り方全般の見直しを行い、所要の制度改正の検討に着手することとし、その際に、高齢者介護に関する社会福祉事業について民間企業の参入が図られ、民間企業と社会福祉法人とが同様の基盤に立つことができるよう、各種の規制緩和及び競争的環境の整備を検討し、結論を得る。」と閣議決定されたことを思い起こすべきである。むしろ、民間参入の促進について強調する必要がある。

(発言5)

○ 具体化策については、その検討を厚生省だけに任せるのではなく、介護保険が間もなく始まる状況の下、措置制度から契約制度への移行について、当事者である我々が積極的に知恵を出して行くことが必要であると考える。
○ 社会福祉法人会計のあり方については一日も早く改善して欲しい。公益法人の会計基準も参考にしながら、施設整備費の借入金償還を寄附金に頼る経営は早く見直し、世間的に通用する会計基準にしてもらいたい。
○ 社会福祉法人に対する税制については、社会福祉法人は非常に公益性の高い事業を行っており、また、よしんば収益があっても社会福祉事業にしか使えないという制約があるので、税の優遇措置は維持してほしい。利用者の中には手の掛かる人もいるが、社会福祉法人がそのような人たちの受皿になり得るためにも、こうした優遇措置をお願いしたい。

(発言6)

○ 指定事業者制度をとるということは、参入する主体、事業者について、法律で一定の線引きをするということであろうと思う。しかし、国が細かく定めるということは、利用者の選択を通じ、適正な競争を促進するなど市場原理の活用という方向と多少異なることになるのではないか。
○ 権利擁護制度などには公がある程度関わっており、公的責任が果たされているとはいえるが、公的助成の範囲など具体的な内容がどのようになるか明らかにならない現段階では、公的責任が「的確」に果たされるとまでは言えないのはないかと思う。
○ 利用助成ではなく利用料助成であれば、措置制度と大きく変わるところはなく、競争原理の導入という考え方からはずれるのではないか。

(発言7)

○ 社会福祉法人についての過度の規制の緩和は全体的に評価できるが、その他の主体の参入の在り方や積極的な参加についてもっと述べるべきではないか。また、社会福祉法人の税制上の優遇措置や助成をこのまま維持して、規制緩和だけを進めるのは、民間企業との競争条件を著しく不公平にするのではないかと思う。規制緩和3カ年計画でも、民間企業と社会福祉法人が同様の基盤に立てるよう、各種の規制緩和と競争的環境の整備をすべきとうたっており、このことをより明確にしてほしい。
○ 社会福祉事業の1種、2種の区分の見直しについてはどう考えているのか。
○ 今回の新しい利用の仕組みについては、個人の尊厳を尊重し、自立した生活をできない人を支援することが大前提である。事業者から利用者へという流れを明確にするためにも、サービスの対価となる原資を利用者に渡しきることにより選択権が保障されるという趣旨を明確にすべきではないか。
○ 多様なサービスが提供される体制の整備に当たっては、競争的環境の整備を進めることが今回の改革のキーワードではないかと思う。
○ 多様な主体の参入については、特別養護老人ホームなど個別の例示はなじまない。民間事業者を積極的に参入させるという点をもっと明確にしてほしい。
 社会福祉法人の規制緩和とともに、民間参入も大きな意味を持つところであり、強調すべきと考える。
○ 利用制度における手続きの流れについては典型的な例が示されているが、一部にしか通用しないものを出すのでなく、在宅でも施設でも共通する基本的なフローを出す方がよい。指定事業者の代理受領については、施設サービスでは分かりやすいが、在宅サービスの場合はどうなるのか。施設サービスと在宅サービスで流れが同じであるとするならば、サービスの対価となる原資を利用者に渡すという原則を、いきなりそうならないにしても、もっと明確にすべきではないか。

(発言8)

○ 公的責任については国の責任とはいっていない。全世界的に価値観の転換期が来ている中で、何が幸せかということも19世紀と今日では全く違う。これからは、民間も国も共に公的責任を負う時代であり、両方協力し合って、新しい時代の幸せをつくっていくべき時に来ていると思う。

(発言9)

○ 公的責任が後退するという人は、改正の趣旨を取り違えているのではないか。介護保険制度では、要介護認定があり、そのためのサービスが不足すれば、施設などを整備をしなければならない。措置制度という予算の制約がある制度から、公的な認定をしてそれに該当するものには公的に責任を果たしていこうということだから、これからは予算も増えていくこともあり得る。もっとこの改革を前向きに理解すべきではないか。

(発言10)

○ 公的責任については大事な議論であり、この点について認識がずれていると意味がない。できれば時間をかけて合意形成を図っていただきたい。
○ 利用者負担の増大が懸念されることについては、その通りである。児童福祉法の改正でも、建前は野心的であったが、内容的には公的支出の削減が企図されていたのではないかと思う。ただお金さえ増やせば問題が解決するというものでもない。
○ 質的な転換が問われているところに今回の改正の歴史的な理由もある。サービスの実施主体が何であれ、担っているサービスに共通に公共性があり、それは行政であれ、民間企業であれ様々な主体が分有するということをはっきりうたうべきではないか。その上で、公共性は必ずしも等質とは限らず、行政がどうしても担うべきものであり、そこには契約になじまないものもある。
○ 例えば、過疎地では民間事業者は活動しにくく、サービスが不足する中で選択ができないし、あるいは児童虐待に対しては親権の制限は公権力を行使するしかない。また、精神障害者福祉などでは公権力で隔離している立場の公が施設内で虐待を行っている場合もある。これらの事業によって公共性をどのように考えるかが問題になる。
○ 公共性のあり方は各分野で異なるため、それぞれの現場での特質を踏まえ、各分野の合意を得て改正を進めないと、一般理念だけが先行し、各分野の特性を阻害しかねない。法案を作成する前に、各審議会に下ろして具体的な検討を行ってほしい。
○ 実施主体が公共性を分有するという意味では、社会連帯にのっとった責任であるべきである。

(発言11)

○ 利用料助成については、利用料を負担できない生活弱者への配慮をすべきである。
○ 具体的な実施に当たる財源を十分配慮するとあるが、その財源を地方公共団体が自前で確保しなければならないのか、それとも国が支援するのか、明確にする必要がある。

(発言12)

○ 公的責任については、誰が担うのかが問題になるし、現代における公的責任の範囲は広がっているとも思う。また、利用者負担の増大への対応や社会的連帯の考え方も重要であると思う。
○ 多様な主体の参入については、今年の12月から法が施行されるNPOの力も、これからますます大きくなると思われるので、これについても触れる必要があると思う。
○ 地域福祉計画は、誰が作るかということが非常に大切であるし、サービスの利用者や男女共同参画ということから女性の参加などの視点も必要ではないか。

(発言13)

○ 公的責任の定義をもう少し具体的に表現した方がよい。このままでは、行政だけに公的責任があるものととらえられかねない。行政だけではなく、サービス提供者の側も含めていろいろ提供することが公的責任である。
○ 介護保険制度との整合性については、苦情解決の仕組みだけでなく、今回の改革全体が介護保険と整合性を持つものであるということを明確にすべきである。

(発言14)

○ 公共性と公的責任とが混同されているのではないか。公的責任は国や地方公共団体に社会福祉を増進する責務があることを前提にした上での責任であるので、国や地方公共団体の責務として理解すべきではないか。
○ 個人の尊厳の重視といっても、個人の尊厳と人の尊厳は違うことに留意する必要があるのではないか。
○ 契約による利用制度と措置制度を対置概念としているが、選択と措置制度との関係はどうなのか。保育所の場合は保護者の選択ができるが、サービス提供者と直接の法律関係があるわけではない。措置は行政権限で一方的に決定することであり、したがって、措置制度の制度の対置概念としての契約による利用というのは形式的にすぎるのではないかと思う。
○ 多様な事業主体の参入について、特養という例示は入れない方がよいと思う。介護保険施設などについては、介護保険制度の下で社会福祉施設なのかどうかということから考え直さなくてはならないのではないか。
○ 地域福祉計画については、地方公共団体が策定するということを明確にした方がよいと思う。
○ 多様な主体の参入については、社会福祉事業には高い公共性があることを大前提としているものであり、それを抜きにした参入はあり得ず、単なる営利事業とは違うのではないか。
○ 三科目主事に見直しの対象については、大学卒以上という前提でよいのか。高校卒などが今後入ってくるのではないか。また、施設長についても既存のいろいろな研修制度を活用すべきであって、資格制度と研修制度との整合性を図るべきではないか。

(発言15)

○ 公的責任の議論については、例えば、厚生省案では、契約による利用制度への転換に当たり、利用者が費用を負担するが、市町村が利用者負担分以外を助成し、市町村に対しては国及び都道府県が一定割合の補助をするという考え方を明らかにしており、これを受けての評価とすべきである。
○ 多様な主体の参入においては、社会福祉の高い公共性を維持でき、サービス基準を満たし、継続性・安定性を確保できることなどが備わっていればよく、いかなる主体であれ、指定の際にこのような基準を考慮すればよいと思う。従って、民間事業者には公共性がないと決めつけることもできないのではないか。

(発言16)

○ 児童福祉、障害福祉の関係者の間には、公的責任は、後退ではなく前進させてもらわなければ困るという声が大きい。また、利用者の経済の論理からすると、負担すべきものは当然負担すべきであるが、利用者負担の増大となれば、改革ではなく改悪ではないかという意見も強い。こういった不安を取り除くことが必要である。
○ 今回の改正と介護保険との整合性をとるべきであるが、介護保険との整合性のみを問題視すべきではなく、社会保障全体との整合性を考えるべきである。
 また、人が人として尊重されるべきであり、尊重されない場合は苦情処理という救済策を設けるということをより明確にするべきである。
○ 住民参加の視点は、地域福祉計画の策定において持つ必要があるが、苦情解決の仕組みにも同様に住民参加の視点は必要である。

(発言17)

○ 戦後50年の福祉を眺めてみると、一方に生活保護があってこれには不服申立権まであるなど権利性があり、これに対し、障害者福祉や児童福祉は、権理性がなかったといえる。今度、介護保険制度でも権利性が保障されることになった。本改革は、今まで、弱者保護であって、権利性のなかった福祉制度に権利性を付与し、権利擁護や苦情処理などの権利性を持った仕組みを整えるということが最大の目玉である。厚生省にその意欲があることを評価したい。

(発言18)

○ これまで特別であったようなことが、普通の感覚で理解でき、生活の中で当たり前のものになるというのがまさに今回の改革であり、それがサービスの質を高めていくということである。これが21世紀に向けた改革であることをはっきりと打ち出したい。

(発言19)

○ お上の世話にだけはなりたくないと思わせるような福祉に対するイメージを根本的に変えることが重要である。予算制約の下で行われてきた福祉が要介護認定を通じて必要とされるサービス量に応じて、予算を増やされていくような新しい世界へ踏み出すということをもっと言ってもよいのではないか。

(発言20)

○ 社会福祉事業の範囲の見直しでは、児童虐待や女性のシェルター的施設のような被害者の社会復帰支援も視野に入れてよいのではないか。
○ 福祉は、国民すべての人のためのものであるとするならば、社会福祉事業の対象者そのものの検討が必要なのではないかと思う。

(発言21)

○ 国民すべてが今は何らかの不安や困難を抱えていて、それをどう救済するかということに対しては、民間事業者はセンシティブであり、その果たす役割は大きいと思う。

(発言22)

○ これまでの社会福祉を開かれたものとすることが、今回の基礎構造改革ではないか。極めて閉鎖的、隔離的、選別的であった社会福祉に、継続性・安定性、公益性、透明性などを求めながら、規制の緩和あるいは競争原理の導入を図り、開かれたものとするということではないか。
○ 開かれるということは、遠心的な姿勢につながるが、その背後には求心的作用が必要であり、それは、公私とも相互に自主規制を行うことでなければならないと思う。福祉に対するモチベーションや、ニードに対する態度あるいはビジョンといった言わば価値志向を大事にすべきである。
○ 21世紀の福祉の担い手は誰なのかというところから今回の議論はスタートした。福祉国家論では国家主義を強調してきたが、今回の構造改革には、まず、市民的努力があり、その市民一人一人が自立し助け合うことを支え、保障するという意味における公的責任があらわれていると思う。ここでの公的責任とは、市民まで含めた福祉に対する責任を共有する社会連帯的な意味ではなく、行政の権力・権限の伴う行政責任だと受けとめている。
○ 行政責任と市民、NPO、社会福祉法人などとの公私の関係を中間まとめでは、はじめてパートナーという言葉で表し、対等な関係を明示しているのだと思う。
○ 民間参入が図られる背景には、地域を基盤にした人間の尊重、権利擁護を図るとう思想が基盤にあるのではないか。
○ 今回の意見のまとめは、中間まとめとの重複を避け、必要最小限のこととする方向が効果的だと思う。

(発言23)

○ 基礎構造改革の理念を受けた制度のベーシックとなるものは、個人の自立支援のための個人への権利付与であり、その場合に選択性の確保、多様な主体の参入、権利擁護、透明性や市場原理があり、質を向上させることにつながると思う。

(発言24)

○ 社会福祉事業の現場を支える従事者の処遇の改善について重要視すべきである。とりわけ、公務員以外、非管理部門の従事者への配慮が必要である。

(発言25)

○ 社会福祉の基礎構造改革に対し、大きな批判はないと思う。ただし、大方がよければそれでよしとするべきではない。福祉の対象者は、大方から漏れているような人たちであり、そういう本当に福祉ニーズが高い人たちに個別にどう対応するのかが重要であり、まとめでは、1人1人のことを大切に考えているというイメージを持ってもらえるようにした方がよいと思う。
○ 今回の改革が、公の責任を免れるものではないということは、重ねて明らかにしておくべきであろう。
○ 多様な主体の参入については、サービスの質の向上のために競い合う関係は必要であると思うが、人の暮らしを支えるための福祉の分野に営利企業が積極的に参入することがうまくいくのかどうか不安である。全面的に反対という訳ではないが、規制緩和してよいところと、そうでないところがあり、慎重な対応が必要ではないかと思う。

6.日程等

 次回は、12月8日(火)午前11時からの開催を予定していることを確認して閉会。

以上


問い合わせ先
厚生省社会・援護局企画課
 電話(直)03-3591-9867


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