審議会議事録等 HOME

内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
議事次第

日 時: 平成10年 9月 2日(水)
10:00〜12:00
場 所: 中央合同庁舎共用第9会議室

1 開会

2 資料確認

3 議 題

(1) OECD会議概要報告
(2) 補正予算研究概要
(3) 内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会
中間報告書の骨子について
(4) その他

4 閉会


連絡先
 厚生省 食品化学課
 03−3503−1711


平成10年 9月 2日

配布資料一覧

資料1 OECD会議概要報告について
資料2 平成10年度補正予算による内分泌かく乱化学物質に関する厚生科学研究課題の概要について,
資料3 内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書の骨子について
資料4 ポリスチレンのエストロゲン性試験結果について
(7月1日開催検討会提出資料)
 資料4−1 ポリスチレンのエストロゲン性試験結果レポート
(TNO報告書)
資料5 平成11年度本予算について

※資料4・資料4−1及び資料5の一部に関しましては、中央合同庁舎5号館の3階、行政相談室で閲覧可能となっております。


資料1

OECD内分泌かく乱化学物質の試験及びアセスメントに関する試験法指針に関する各国調整官(National Coordinator Meeting)及びリスクアセスメント専門家合同会議

The OECD Joint NCM/RAAB[Risk Assessment Advisory Body] the Risk Working Group on Endocrine Disrupter Testing and Assessment [EDTA])


<第1回>
主 催 経済協力開発機構(OECD)
開催地 経済協力開発機構本部
開催日 平成9年3月10日〜11日
参加者 46名

目 的

 現在ある内分泌かく乱化学物質(EDCs)に関する試験戦略を通覧して、国際的な試験法の確立とその共同試験の可能性を探ること。

1)この問題の国際戦略としての枠組みを明らかにすること。

2)試験方法を通したEDCsの定義付けを改めてはっきりすること。

3)EDCsのadverse effectsのエンドポイントを何にとるべきかを決める。

4)以上を通して定まって行く試験について、どの程度に試験担当者(国)間の幅(フレキシビリティ)を持たせることにするか。

5)合意に沿って、準備にあたるEDTAとしてのワーキンググループ(WG)を作ること。

概 略

1.論点に関する結論:

1)エンドポイントは、種の保存を脅かす生殖毒性(環境及びヒトの健康)である。

2)ヒトの健康と環境を分けて、それぞれを別に検討する。つまり、環境暴露とヒト暴露をわけてアセスメントしてゆく方向をとる。

3)甲状腺をいれるかどうかについては基本的には入れない、ただ既存の試験の中で、注意を払う。

2.試験のスキーム:

 上述の結論でのエンドポイントに対して、どのようなdefinitve testingの結果をエンポイントにするかについて詰める必要があり、それをカバーする中間テスト、さらに、プレ・スクリーニング体制を組む必要がある。

3.Definitive testing についての合意事項:

1)哺乳類については、OECD TG416を拡張する。(TG:Testing Guideline)

2)発生過程における神経毒性の観察

・既存のナショナルコーディネーター(NC)を中心として、どんな追加すべきエンドポイントがあるか(もしあるとすれば)について、TG416の見直し、および、書き換えへの協力。
・もし差し当たり急速な変更が必要ないとした場合、なにをすべきか。
・神経の発生毒性については、draftを作る。

3)非哺乳類については、鳥、両生類、魚類、無脊椎動物にわけて、以下の通りに展開する。

・鳥については、OECDのTG206が拡大するよう検討。
・両生類については、慢性試験のTGがないので、米国EPAがこれの樹立を検討す る。
・無脊椎動物では、98年9月までにOECD/SETACのワーキンググループで作製する。
・魚類については、魚類試験の重要性を検討し、どんなタイプのテストが必要かをまとめた結果、魚類の生活環を明らかにすること、ワーキンググループとしては,
・新しいTGを作製する方向で取り組む。
・また、スクリーニング試験グループをつくって、魚類の亜急性試験をTG210を拡張するか、魚類の生活環の把握を念頭においた新しい試験をつくる。
・更に、OECDは、マネージメント・グループ(各国1名)を構成し、魚類試験についての考察、バリデーションおよび更に改善して行くための追跡を行う。

4)物質のスクリーニング・同定法・性格付についての試験法(哺乳類):マネージメント・グループを組織して、つぎのようなバリデーションを組織する。

・成熟系:TG407の拡張としてもっとも鋭敏なエンドポイントを設定する。この際、reference groupの化合物と調和をはかる。
・胎内系 (in utero):TG415/421/422の拡張の一環として、in utero系をすすめる。
・成長期観察系 (growing up):雌雄の思春期観察系

5)スクリーニングのために適したバッテリーテスト(s)の構築:情報の回覧/次回ワーキング・グループ(8月)でのより掘り下げた物質を明示しながらのつぎのような点についての討議を進める。

・in vivo-哺乳綱については:

魚類: Expert Working Groupは、definitive/characterizationの双方の立場からの孝察。
鳥類: 現状で試験法には特に問題ない。
両生類: Xenopus。OECDには、GLがない。EPAのプロトコルを参考に。

・in vitro-哺乳綱については:
子宮肥大試験 (uterotrophic assay)
思春期試験 (EPAのプロトコルを入手する)胎内試験 (実験デザイン)
6)バリデーションのための化学物質の選定
・マネージメントグループとOECD委員会では、このためのワーキング・リストおよびそれらの選別基準などについて比較検討して、reference chemicalの一般リストを作製する。


<第2回>
主 催 経済開発協力機構 (OECD)
後 援 米国環境防護庁 (EPA)
開催地 ワシントンDC、ヴァジニア州
開催日 平成10年8月10日〜11日
参加者 約40名

目 的

 各国で準備中の内分泌かく乱化学物質に関する試験戦略を通覧の上、それらをすりあわせて、国際的な共同試験の実施計画を立てること。特に、

1)この問題の国際戦略としての枠組みを確認すること

2)ワーキング・グループの提案、EDSTACの方針、ヨーロッパ工業界の方針、日本 の推進状況と提案などの報告と質疑

3)2)に沿って、試験法と、試験化合物のあるべき方向について討議、決定し、分担を明らかにする。

経過とまとめ

1)試験法として、Uterotrophic assay、Hershberger assay、およびTG407 with enhancementの3つについては、国際的共同試験として適当と考えられ、Validation Management Committees(Gelbke(BASF)、Koetter(OECD)、Inoue(Japan)を中心に)をつくり、先行的にプロトコルを固める。11月を目途に決定。

2)試験化学物質の選定については、

・Potent estrogenの中からethinylestradiol
・エストロジェン受容体アンタゴニストとしてZM189,154
・アンドロジェン物質としてmethyltestosteron
・アンドロジェン受容体アンタゴニストとしてflutamideを候補とする。
この他にも有用な提案を受け入れる。
3)試験法に関するコメントとしては、
a) Uterotrophic assayとしては、卵巣摘出法と未成熟雌を用いる方法を検討した上、特に科学的な理由からではなく、試験上の便宜の立場から、未成熟ラットを用いる方法を候補と決定した(但し、マウスも可)。

b) 対照物質として用いる化学物質としては、強いestradiolと弱いエストロジェン様物質を用いること、陰性対照物質として何らかの物質を選定して、飼料などの影響を見る必要性などを検討した(持ち越し課題)。

4)試験にあたっては、試験バリデーション運営委員会 (Validation Management Committees) を組織して試験の進め方について検討するとともに、同一被検物資の供給法などについても検討する。


資料2

平成10年度補正予算による内分泌かく乱化学物質に関する厚生科学研究課題の概要


1 内分泌かく乱化学物質の胎児、成人等の暴露に関する調査

主任研究者 中澤 裕之 星薬科大学教授
研究費用 145百万円

【研究概要】

(1)農薬、食品添加物、医薬品等の化学物質の安全性は実際使用される濃度レベルより高いところで、急性毒性や発ガン性等の慢性毒性実験を実施し、その体内動態を明らかにしてリスク評価がなされている。しかし、内分泌かく乱化学物質の問題の特徴は微量で世代を越えて生体、特に胎児や乳児に影響を及ぼすことが危惧されていることである。内分泌かく乱化学物質問題に関しては、その作用機構を含めて解明すべき内容が余りにも多岐に渡っている。

(2)本研究では内分泌かく乱化学物質にヒト(胎児、乳児、成人等)がどの程度暴露されているかを明らかにすることを主目的とする。この目的のためにはGC/MSやLC/MS等を駆使して、現時点で我々がどのような内分泌かく乱化学物質を取り込んで、生体試料(血液、母乳、腹水、臓器など)から実際に検出されるのかを解明する。このためには生体試料をターゲットにした高感度かつ精度の高い分析法を構築することが不可欠である。

(3)具体的には下記に示す内容に対して多数の機関が参画し、総合的に本研究プロジェクトを推進するものである。

1. 内分泌かく乱化学物質の胎児・乳児暴露等に関する調査研究

(1)臍帯血及び母乳中の内分泌かく乱化学物質に関する研究

 内分泌かく乱化学物質の胎児・乳児暴露量の評価のために、母乳、臍帯血、妊婦血液を対象とした内分泌かく乱化学物質の試料調製法を含む超高感度分析法を開発する。特に可塑剤の分析には、分析機器から溶出する化学物質の影響を排除するような実試料の採取方法が必要で、測定手法を構築する。

(2)母乳中の内分泌かく乱化学物質と乳児の健康影響に関する研究

 新生児・乳児の栄養を考えていく上で不可欠である母乳には脂肪分が多く含まれ、その中にダイオキシン類が含まれることは先行する研究で明らかになっている。そこで、母乳中に含まれるダイオキシン類の濃度と乳幼児の甲状腺機能等との相関を見ることにより、母乳中のダイオキシン類が乳幼児に何らかの影響を与えるかどうかについて考察する。

2. 内分泌かく乱化学物質の成人暴露等に関する調査研究

(1)子宮内膜症患者の腹水中における内分泌かく乱化学物質に関する調査研究

 内分泌かく乱化学物質の生殖系に及ぼす影響の一つに、近年20代、30代の女性の間で急増していると言われている子宮内膜症との関連性が指摘されている。本研究では子宮内膜症患者の腹水中の内分泌かく乱化学物質を分析し、関連性を明らかにする。この研究には腹水の採取方法と超高感度な分析法の構築が必要である。

(2)成人の血液、毛髪中における内分泌かく乱化学物質と食生活要因等に関する調査研究

 成人への内分泌かく乱化学物質の暴露量を知るために、血液、毛髪での検出を行う。これまでのモニタリングにおいて環境中に検出されている物質のうち、生産量が多く、有害性、残留性の高い化学物質を選定し、重点対象物質として高感度分析法の血液及び毛髪中の分析法を開発して実試料の分析を行い、被験者の食生活等との関連性を明らかにして、内分泌かく乱化学物質と疑われている物質の成人への人体負荷量を評価する。

(3)ヒト解剖検体の肝臓、脂肪、血液等各種臓器部位への内分泌かく乱化学物質の分布等に関する調査研究

 人体への内分泌かく乱化学物質暴露量の実態を調査し、組織内蓄積分布を計測し、将来の対策の基礎データを提供する。

【研究計画】

(1)高感度分析法の開発

 まず、数多くの内分泌かく乱作用が疑われている物質の中から、これまでのモニタリングで環境中に検出されており、生産量が多く、有害性、残留性の高い物質を選定し、これを重点対象物質とする。予備的には有機塩素系化合物、TBT、TPT、ノニルフェノール、ビスフェノールA、フタル酸エステル、スチレンダイマーなど十数種を選択した。これらの物質に関し血液、毛髪中の分析方法を文献等で検索するとともに、高感度検出法を開発する。実際の成人の試料について測定し、人体暴露量を評価する。この際、食生活、喫煙などとの関連について解析を行う。
 具体的には、GC/MSの場合を例にすると、1)血液、母乳、毛髪からの抽出方法の検討を行う。2)GC/MS分析を行うための誘導体化の検討を行う。3)マトリックスを減少させるためにクリーンアップ方法の検討を行う。4)GC/MS測定法の検討を行う。このような検討を加えて確立された分析法を用いて実試料の測定を行い、ヒトの暴露量を把握する。

(2)雌性生殖機能への影響について

 生体試料中の内分泌かく乱作用が疑われている物質の濃度分布の検討を雌性機能異常例など特定の症例に焦点を当てて検討する。不妊患者を含む各種症例に行う腹腔鏡の際、生殖臓器を取り巻く腹水中のできる限り多くの化学物質の濃度を測定し、母乳、臍帯血、ヒト腹腔中の汚染度を調べる。

(3) 母乳中のダイオキシンの分析

 生後30日後の母乳を採取し、GC/MSで測定するとともにその母親から生まれた乳児の甲状腺機能を検査し、相関関係を調べる。

(4)ヒト解剖検体の肝臓、脂肪、血液等各種臓器、部位への内分泌かく乱化学物質の分布等に関する調査研究
 内分泌かく乱化学物質のバックグランド値を測定することを目的に、以下の方法で研究を実施する。

1)日本人の人体各部の有機塩素系化合物、農薬由来の化学物質、重金属やプラスチック由来の内分泌かく乱化学物質を測定し、標準的なバックグランド暴露値を年齢階級別、性別に得る。

2)組織としては項部脂肪組織(brown fatに相当)、腋か脂肪組織、腸間膜脂肪組織、腹部脂肪組織、眼球・下垂体(開頭例のみ)、肝、脾、腎、膵、胃粘膜、腸管粘膜、乳腺、副腎、骨髄、脳等である。

3) 測定は脂質を抽出し、クリーンアップを経て、高分解能ガスクロマトグラフ・二重収束型質量分析計あるいはGC/MSで測定する。重金属類として錫、鉛、水銀等を測定する。

(5)分析値のクロスチェック

 内分泌かく乱化学物質の測定結果については、分析値の信頼性を確保するため、数値が得られた試料については可能な限り、複数の試験研究機関でクロスチェックを実施する。


2 内分泌かく乱化学物質の食品、食器等からの暴露に関する調査研究

主任研究者 斎藤 行生 国立医薬品食品衛生研究所副所長
研究費用 114百万円

【研究の概要】

 内分泌かく乱化学物質に対する暴露経路は主として経口であるため、以下の項目について調査研究する。

1)フタル酸エステル等の暴露に関する調査研究;主な暴露源である食品及び乳幼児が使用する歯がためやフタル酸エステルを含有する材料で作られている玩具等(ソフトトイ)からの分析法の確立及び汚染実態、或いは試料からの移行をモデル実験により調査する。問題点はバックグランドをいかに低くし精度の良い分析法を確立するかである。

2)ビスフェノールA等フェノール化合物の暴露に関する調査研究;食品中の含有量及びポリカーボネート食器並びに缶詰内コート材料から食品中への溶出に関する調査研究を行う。分析法にはGC−MS、ECD−GC、HPLC、HPTLCA等を用い簡易にして精度の高い方法を確立する。実態調査により得られたデータからヒトへの暴露量の推定を行うことを目的とする。

3)トリブチルスズ等の畜水産食品中の残留に関する調査研究;魚介中のトリブチルスズ、PCB、DDT等の汚染実態について詳細な情報を得るために日本海近海に生息する魚介中の汚染実態を調査する。又、微量で活性を有する天然型ホルモン(プロゲステロン、エストラジオール等)をRI法により測定し実態を調査する。試料は国産及び輸入牛肉である。

4)その他の内分泌かく乱化学物質の暴露に関する調査研究;天然の内分泌かく乱化学物質としてイソフラボン類及びリグナン類が知られているが、食品経由の摂取量は豆類から摂取するイソフラボンの方が多いので本研究ではまず、各種豆類中のイソフラボン類の分析法を確立し、調理加工後の摂取実態を明らかにする。その他ポリスチレン食器からのスチレンダイマーやトリマーの食品への移行に関する研究、及び微量で活性を有する可能性のある難分解性有機塩素系農薬の調査も行う。

【研究計画】

1.内分泌かく乱作用が疑われているもの又は使用量が多いものを選定し、約10種のフタル酸エステル及びアジピン酸エステルのGC/MSによる一斉分析法を検討し、試薬ブランク値の低減化とその再現性に関する確認を行った後、達成できた検出限界で食品試料の分析を実施する。分析に際しては、試薬ブランクの並行試験を実施することによって正確な分析値を求める。分析結果を基に食品経由摂取量の推定を行う。

2.(1)ビスフェノールAならびにノニルフェノールの定量における試料の前処理法を検討する。前処理した試料を簡易、迅速にスクリーニングするためにHPTLC及びHPLCを用いた簡便な検出法を確立する。さらに物質の確認ならびに定量にはGC−MSを用い、高効率な測定方法を確立する。(2)容器及び包装材量の使用条件の違いがビスフェノールAならびにノニルフェノールの含出量に及ぼす影響を検討する。市販の容器(缶詰を含む)ならびに包装材を試料として、食品の素材やpHならびに温度等の条件が含出に及ぼす影響を検討し、容器包装材量からの含出量を把握し、食品への移行状態を推定する。(3)ビスフェノールAならびにノニルフェノールの簡便な生物学的アッセイ法を検討する。

3.文献検索により、ウシ生体内のホルモン変動等のバックグラウンドを把握する。又、国産及び輸入牛肉の検体を買い上げ、天然型ホルモン(プロゲステロン、エストラジオール、テストステロン)をRIA法により測定する。

4.輸入食品中のHCH、DDT、DDD、DDE、ディルドリン、アルドリン、エンドリン、ジコホール、エンドスルファン等の有機塩素系農薬の実態調査を実施する。また、現在、日本で使用されているが、残留実態調査データが少ない農薬、エンドスルファン、アラクロール、トリフルラリン、ビンクロゾリン、シぺルメトリン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、ペルメトリンを対象に調査する。

5.食品中のフィトエストロゲンは特に豆類に多く含まれるとされている。フィトエストロゲンのうち、イソフラボノイドであるダイゼイン、ゲニステイン、ヴィオカニンA、ホルエネチン及びエクオールの食品からの分析法を確立する。さらに、大豆、小豆等の各種の豆類、豆腐、厚揚げ、豆乳、黄粉等の大豆加工食品について、また大豆を主体としたベビーフード、粉ミルク等について上記のイソフラボノイド含量の実態調査を行う。


3 内分泌かく乱化学物質の水道水からの暴露等に関する調査研究

主任研究者 国包 章一 国立公衆衛生院水道工学部長
研究費用 71百万円

【研究概要】

 人に対する内分泌かく乱作用の疑いのある物質のうち、環境汚染に由来する水源起因の物質及び水道用資材からの溶出などの水道システム自体に起因する物質について、原水から給水栓までの水道システムにおける挙動及び存在量を把握し、水道水を通じた暴露量を明らかにする。

【研究計画】

(1)環境汚染に由来する水源起因の物質に関する調査
生活排水、産業排水に起因する物質を中心に原水における存在量、浄水過程における挙動、水道水における存在量を把握する。

(1) 対象とする物質の選定
 ノニルフェノール等のアルキルフェノール類、ビスフェノールA、フタル酸エステル等を対象とする。
(2) 水質の測定方法の検討
 水道水中では、特に微量分析が必要となるため、高感度で精度の良い測定方法が必要となる。適切な定量下限を設定し、そのための採水量、濃縮方法、使用器具材料等を検討し、測定方法の標準化を図る。
(3) 水道における測定
 水源、浄水処理方法を考慮し、全国的に代表性を有する水道十数カ所程度を選定し、原水、浄水、給水栓水において測定する。

(2)水道システムに起因する物質に関する調査

 水道管、塗料等の水道用資材において原料や添加物として使用されている物質を中心に、水道における使用実態、水道水への溶出の可能性、水道水における存在量を把握する。

(1)対象とする物質の選定
 ビスフェノールA、フタル酸エステル等の樹脂原料、塗料等の原料とされている物質を対象とする。
(2)溶出試験方法の検討
 残留塩素濃度、接触面積比、溶出温度等の諸条件を検討し、溶出試験の方法を定める。
(3)水質の測定方法の検討
 (1)の(2)と同様
(4)溶出試験の実施
 対象とする物質について、塗料、樹脂管等の代表的製品に関し、3通りの溶出試験を行い、溶出可能性を把握する。
(5)水道における測定
 (1)の(3)において、配水管延長や配水管の管種を考慮して測定を行う水道を選定し、給水栓水において測定する。

(3)大気からのフタル酸エステルの暴露量に関する調査

 フタル酸エステルについて、食品、水道水、大気を経由した摂取量の推定を行うことができるよう、大気からの暴露量を把握する調査を行う。


4 28日間反復投与試験等に関する調査研究(OECD国際共同プロジェクト)

主任研究者 広瀬雅雄 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター病理部長
研究費用 277百万円

【研究概要】

 内分泌かく乱化学物質のin vivoスクリーニング法開発を目的とした国際共同バリデーションプロジェクトに参加する目的で、(1)OECD 407ガイドラインを改訂した28日間反復投与試験、及び(2)子宮重量等を指標とした生体試験を行う。プロトコールは統一されたものを用い、既存のホルモン作用の明らかな5品目について複数の研究機関で統一的に試験を実施する。 その結果を総合的に検討し、プロトコールの内分泌かく乱化学物質スクリーニング法としての検出力を検証する。さらに、すでに設定されているNOELと内分泌かく乱作用のNOELを比較検討する。

【研究計画】

 本研究は新たに確定される共通プロトコールに準じて行うため、それが確定されていない現時点と最終プロトコールでは若干の変更があると思われるが、その概要は以下のとおり。

(1)28日間反復投与試験

 各群10匹以上の6週令雌雄SD系ラットに、被験物質を28日間連日強制経口投与あるいは混餌投与する。投与量はMTD相当の高用量、NOEL相当の低用量及びその中間用量とする。必要に応じてさらに低用量を設ける。雌については実験期間中膣垢を採取し性周期を観察する。エーテル麻酔下で腹部大動脈から血液を採取し、血液、血清生化学検査、血清中各種ホルモンの測定を行う。採血致死させた動物について体重及び生殖臓器を含め全臓器を摘出し湿重量を測定する。また、屠殺時精巣上体から精子塊を採取し精子の運動性、精子形態を観察し、精巣及び精巣上体から採取した精子数を算出する。摘出された臓器は固定後病理組織学的検査を実施する。

(2)子宮重量等を指標とした生体試験

 各群10匹以上の離乳後の雌ラット(18-20日令)を用い、被験物質を幼若ラットでは1ー3日間経口投与する。最終投与の6時間後に動物をエーテル麻酔下で屠殺し、子宮の重量を測定、固定後病理組織標本を作製し、上皮の厚さや増殖期にある内膜細胞数などについても検索する。必要に応じて血清の各種ホルモンレベルを測定する。なお、被験物質としては内分泌かく乱作用の明らかにされている既存の5品目を選ぶ予定である。


5 ビスフェノールA、ゲニスタイン等の繁殖試験及び体内動態に関する調査研究

主任研究者 福島昭治 大阪市立大学医学部教授
研究費用 293百万円

【研究概要】

 本研究ではビスフェノールA及び植物由来のゲニステインの生体への影響を検討する。内分泌かく乱化学物質が生体に最も影響を与える時期は胎児期、乳児期と思われる。性ホルモン産生がない、あるいは極めて低い時期に外来性の性ホルモン、特にエストロゲン作用を持つ物質が胎盤や乳汁を介して作用した時、生殖器の分化、発達に大きな影響を与える可能性がある。そこで、本研究ではビスフェノールAやゲニステインが胎児期、乳児期に曝露した時、それらが動物の出生後、生殖器の形態と発達及びその機能にどのような影響を及ぼすのか、体内動態すなわち吸収・分布・代謝・排泄はどのようであるのか、行動特に情動行動(攻撃性、抑うつなど)に影響を及ぼすのか、また胎児・乳汁への移行、免疫、神経系等に対する影響はどのようであるのかを検討する。さらに、長期曝露による肝毒性等に及ぼす影響を閾値の存在の有無を含めて検討する。また、in vitroの立場からもこれら化学物質のホルモンバランスへの影響、細胞内動態について検討する。

【研究計画】

1. SD系ラットを用いてビスフェノールA、ゲニステイン、ノニルフェノール及びフタル酸ブチルベンジルの内分泌かく乱作用を2世代にわたり検索する。本試験では、性周期検査、精子検査、ホルモンレベル測定、生殖能力試験(交尾・受(授)胎能力、分娩・哺育能力)、TK分析をF0及びF1世代で、行動発達・行動機能検査をF1世代で実施し、両化合物の総合的評価を行う。

2. 1)ビスフェノールAの体内動態を検討する。ラット及びサルに14CでラベルしたビスフェノールAを投与し、その血中濃度を測定し、Cmax, Tmax, T1/2, AUC, 生物学的利用率を求める。また、尿及び糞中排泄を検討する。2)定量的オートラジオグラフィーを用いてラットにおけるビスフェノールAの全身的な分布及び残留について検討する。また、内分泌臓器及び脳における微細な分布についての情報を得る。3)ラット及びサルの代謝物を分布する。4) in vitroにおける代謝についてラット及びヒトミクロゾーム及びヒトp450を用いて検討する。

3. マウスを用いて、ビスフェノールA、フタル酸ジブチル、ベンゾ(a)ピレンなどの化学物質の一般行動、運動量、運動協調性、痛覚、学習・記憶、不安、抑うつ、攻撃性などに対する効果を検討する。

4. 1)卵巣摘出骨粗鬆症マウスならびに正常マウスにゲニステインを投与し、子宮に対する作用の用量依存性を比較する。2)離乳前後の動物(雌性)にゲニステインを投与し、生殖器への影響を観察する。3)妊娠ラットにゲニステインを投与し、胎児、乳児への移行と生体影響を観察する。

5. 1)ビスフェノールA及びゲニステインの胎児期曝露の雄性生殖機能への影響として、妊娠ラットに被験物質を投与し、生育後の雄の生殖機能に与える影響を調べる。精巣重量当たりの1日精子産生能、精巣上体精子数、運動能、精巣及び付属器官の重量、LH、FSHレセプターmRNAの発現などを測定する。また組織学的(光学、電子顕微鏡)観察を行う。2)性ステロイドホルモン代謝系に与える影響として、妊娠ラットに被験物質を投与し、生育後の雄のテストステロンなど性ステロイドホルモンの産生及び合成酵素活性に与える影響を経時的に調べる。

6. ビスフェノールA、ゲニステイン及び他の内分泌かく乱化学物質について、1)ラットの生殖関連行動及び生殖機能に対する影響、2)ラットのエストロゲンレセプターの発現に対する影響、3)鶏胚の発生に対する影響、4)ヒト培養乳がん細胞のエストロゲン依存性情報伝達系に対する影響、5) 組換え体ヒトステロイドホルモン合成酵素の作製及びその酵素機能に対する影響、6)ヒト培養免疫系細胞の機能及び分化、アポトーシスに対する影響、7)組換え体ヒトスルホトランスフェラーゼの作製及びそれを用いた代謝の検討、8)組換え体ヒトグルタチオントランスフェラーゼ(rhGST)による代謝反応の解析、9)rhGSTの蛋白工学的改変による代謝活性の増強、10)当該物質の脳内移行に対するrhGSTの阻止効果、を検討する。

7.1)スチレン等の長期暴露による肝毒性等について検討する。2)卵巣摘出ラットを用いて、ビスフェノールAの子宮に対する作用とその閾値を検討する。3)神経系に対する影響も検討する。

8. ノニルフェノール及びフタル酸ブチルベンジルの血液中濃度の測定、放射能ラベリングした検体の血液、尿、呼気、乳汁中の濃度測定、全身ラジオグラフィー、全身オートラジオグラフィーによる全身諸臓器の分布、胎盤通過性試験


6 内分泌かく乱化学物質の超高速選別法の開発・検証に関する調査研究

主任研究者 菅野純 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部長
研究費用 100百万円

【研究概要】

 内分泌かく乱化学物質問題の緊急性に鑑みて、その(1)高速分析と(2)新しい構造活性相関の研究を行う。

(1)ハイ・スルー・プット・スクリーニング(High Through Put Screening、HTPS)を利用した超高速分析法の検証に関する調査研究

 エストロジェン作用、アンドロジェン作用、甲状腺ホルモン作用を指標としたHTPSによる超高速自動分析法の検証を行う。1)女性ホルモン、男性ホルモン、甲状腺ホルモンのレセプター遺伝子及びレポーター遺伝子を組み込んだ培養細胞を用いたアッセイ法の有効性の検討、及び2)表面プラズモン共鳴の測定による上記ホルモン受容体に対する結合・解離等に関するデータの採用を検討する。1)については超高速自動分析のために、上記アッセイ法をロボットシステム(ハイスループットシステム、HTPS)に設定し、約350の化学物質についての試験を実施するとともに、必要な改良を行う。2)については、本法の新規性に鑑みて、その応用の実用性を具体的に検討する。それらの結果に関して、個体レベルの試験データなどの生体影響との比較検討を行い、今後の詳細な試験を行うに当たっての優先順位付けに資する。

(2)バイオフィールド3次元定量的構造活性相関の利用に関する調査研究

 内分泌かく乱作用の可能性のあるものを選別するため、(1)における内分泌かく乱作用に関する試験結果、化学物質の構造及びホルモンレセプターの構造等を有機的に連携づけるバイオフィールド3次元定量的構造活性相関を利用した方法を調査研究する。

【研究計画】

1.培養細胞を用いたハイスループットスクリーニング(HTPS)を利用した超高速分析 法の検証に関する調査研究

 ヒト乳がん由来細胞株(MCF-7等)あるいはHela細胞等の培養細胞株に、エストロジェン応答性レポーター遺伝子、アンドロジェン応答性レポーター遺伝子、あるいは甲状腺ホルモン応答性レポーター遺伝子を導入し、安定発現株を作成し、各々のホルモン受容体を介する遺伝子発現を指標としたホルモン作用の検出系を確立する。既に、エストロジェン作用検出細胞系の確立はほぼ終了しており、他の2株系についても開発が進行している。これらの細胞系を用いたホルモン作用の検出系を、96穴培養プレート上に自動的に展開し、自動測定を行うロボットシステム(HTPS)を開発し、約350の化学物質について試験を実施する。この際に、ロボットに組み込む細胞株、試薬、反応時間、制御プログラム等に関して必要な改良を行う。また、その結果に関して生体影響との整合性に関するバリデーションを行うため、必要に応じて受容体結合試験、受容体遺伝子及び応答遺伝子導入酵母などのin vitro系試験及び卵巣摘出マウスにおける子宮肥大試験等のin vivo系試験を行い、HTPSの結果との対比を行う。

2.表面プラズモン共鳴法を用いた超高速分析法の検証に関する調査研究

 種々の核内ホルモン受容体結合タンパクを調整し、それらに対する各種化学物質の結合状況(相対結合量、結合定数、解離定数など)を表面プラズモン共鳴測定装置により高感度かつ迅速に測定する系を確立する。

3.バイオフィールド3次元定量的構造活性相関の利用に関する調査研究

 内分泌かく乱作用の可能性のあるものを選別するため、内分泌かく乱作用に関する試験結果、化学物質の構造及びホルモンレセプターの構造等を有機的に連携づけるバイオフィールド3次元定量的構造活性相関を利用した方法を調査研究する。上記1、2のHTPSにより得られるデータを用いて、バイオフィールド3次元定量的構造活性相関のためのデータベースを構築する。電算プログラムの仕様、開発等は米国国立毒性研究センター及び国内の研究期間との共同研究により進める。


資料3

内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書の骨子について(たたき台)


I.はじめに

II.内分泌かく乱化学物質を考える

1.内分泌ホルモンの人体における機能と役割

2.作用メカニズム

3.化学物質の物理化学的性質

4.暴露経路

5.人への影響

III.内分泌かく乱化学物質問題を解決するために
1.問題解決のため取組の現状

2.今後の対応方針

3.人の健康を確保するための具体的な対応方針

4.具体的なスケジュール

IV.おわりに


資料5

内分泌かく乱化学物質健康確保対策基盤整備費

0百万円 → 122百万円


(要求要旨)

 プラスチック、おもちゃ等から溶出する化学物質、洗浄剤等に含まれる化学物質については、極微量であってもホルモンに類似する作用を有し、生殖機能、内分泌系、神経系に影響を与え、さらに将来の子孫に影響を与える可能性が指摘されている。内分泌かく乱化学物質の研究成果、使用実態、欧米における対策状況等について情報を収集して、データベース化し、迅速かつ的確にこれらの物質の安全対策に取り組む。

(事業内容)

 我が国や欧米の研究機関における内分泌かく乱化学物質の研究成果、使用実態、欧米における対策状況等を正確に把握するための情報交換を国際的な枠組みの中で実施する。
 また、試験研究の成果、国際機関及び欧米のデータ、他省庁の研究のデータ等をデータベース化する。
 さらに、これらの情報に基づき、有識者からなる検討会において、人に対する健康影響、安全対策等について検討し、必要に応じて、適切な措置を実施する。

内分泌かく乱化学物質健康確保対策基盤整備費概要図

連絡先
 厚生省 食品化学課
 03−3503−1711


審議会議事録等 HOME