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第11回中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会議事要旨


1.日時: 平成10年5月18日(月)10:00〜
2.場所: 厚生省特別第一会議室
3.出席委員 (五十音順)
阿部、石井、板山、江草、喜多、永松、木村、橋本、福武、桝本、三浦、八代、山口、吉村の各委員

4.議事

(1)第10回の議事要旨について確認

(2)分科会の進め方について確認

(3)阿部委員から中間報告とりまとめ案について説明

5.審議の概要

(発言1)

○ 社会福祉事業の規模要件については、一定の規模以上が前提となっているが、市町村の実態に応じた適正な規模の複合施設ができればよいのではないか。
○ 公認会計士による外部監査は積極的に進めているが、現在まだ9つの府県でしか実施されていない。公認会計士が社会福祉法人の経理規程を理解できないのが理由となっているので、一般の非営利法人で行われているものと同じような、公認会計士が理解できるような規定に変えてもらいたい。

(発言2)

○ 福祉事務所については私は不要ではないかと思う。ないところもあるし、広域でやっているところもある。もっとどこでも身近な相談に応じられるような、いろいろな福祉事業ができる事務所機能をもう少しきっちりする必要があるのではないか。
○ 措置制度をやめて個人の尊厳を大切にする流れには賛成だが、その中でも行政的ないし権力的にやらざるを得ない部分をどうするのか。例えば、本人に生活保護を受ける意思がないが放置すると死亡するおそれがあるケースについては、あまりにサービス利用者の意向ばかり聞いて現実に時間がたって死んでしまうということもあり得るので、この辺はもう少し明確にする必要がある。
○ 公費負担については、地方分権として地方公共団体に押しつけられて国は逃げてしまうのではないかという心配がある。厚生省予算が削減されている実態があり、一般財源化という美名のもとに架空の交付税の計算の中に入れられている実態から考えると、公費負担のあり方については十分な検討が必要である。

(発言3)

○ 改革の理念として、最初に福祉の文化の創造を含めた地域での総合的支援をたて、次に、利用者の自立支援の視点をより明確にしてはどうか。利用者の選択に基づく契約を原則とする中で、事業者補助から利用者補助への移行の原則を明確にする必要がある。多様な事業主体の参入促進として、規制緩和やボランティア、民間企業の積極的参入について、具体的な表現を盛り込んでもよいのではないか。公私の役割分担も明確化する方がいい。これらにより改革の理念として地域と個人に焦点を当てるということがより明確になるのではないか。
○ 検討会の報告では、市場原理を、その特性に留意しつつ幅広く活用していくというのが大前提であったと思う。5月11日に総務庁の児童福祉対策等に関する行政監察結果に基づく勧告があり、認可外保育についても「認可保育に準ずる類型として位置づけ、助成を行う」とされており、全体として、もう少し市場原理的なものを打ち出してはどうかと思う。
○ 利用券という言葉を入れるとよいのではないか。ただ、利用券ですべて解決するというのでなくて、制度の特性に応じて利便性の高い利用手続きになればよいと思う。これは、利用者の権利を具体的な制度で担保するという必要性と、国民に分かりやすいということが大事だということである。
○ 質と効率性については、市場原理をその特性に留意しつつ幅広く活用するということを明確にしてはどうか。
○ 社会福祉事業従事者の仕事が、賃金や社会的評価により裏打ちされる必要がある。良いサービスがそれに見合う対価を得られることを明確にする方がよい。
○ 公民の役割分担についての合意形成については、もう少し方向性を出した方がよいのではないか。
○ 市区町村社会福祉協議会の意義は重要と考えているが、直接サービスの取扱いについては一般の事業者扱いとすべきではないか。社協はむしろ保護救済に焦点を当てるべきであり、直接サービスを行う場合は自立型にすべきである。

(発言4)

○ 一般事業者が大幅に参入する見込みはないのではないかという考え方についてはこだわりがある。雇用吸収も含めて積極的に企業が入っていける環境整備をしてほしい。例えば民間保険であるとか、死亡給付を生前給付にするとか、そういうのがどんどん機能することによって、利用者も民間サービスを使いやすくなるのではないか。
(発言5)
○ 人材養成・確保について、雇用の安定を加えて考える必要がある。福祉の人材は必ずしも正規雇用というイメージではない。賃金が正規職員と同額と言うだけでは不十分である。数か月間の限定された雇用契約が繰り返されるケースもあるわけであって、その場合、引き続きそういう仕事に従事していく条件について、本人たちがどのくらい信頼感をもてるのかが重要である。労働者派遣についてネガティブリスト化が検討されているが、そうなると介護労働者が当然派遣対象に含まれることとなる。現在の自治体で行われているホームヘルパーの処遇も含めて、こういった職業が従事者にとって安定したものとなるよう、特段の配慮が必要である。
○ 社会福祉のコストは人件費の占める割合が大きいのが特徴である。そのコストがただ出しっぱなしのイメージでとらえられやすいが、福祉事業が一国の経済に対して雇用の確保も含めた積極的な役割を果たすのだというという位置づけをしてもらいたい。
○ 福祉が利権化するという不幸な事態が生じる中で、こういう事態についてクリアにしていくという筋は通さないと、必要なコストとは別のお金の流れができてしまう。これは効率性という意味からも倫理性からもクリアすべき条件ではないか。
(発言6)
○ 対等な関係の確立にあたって、利用権の確立が明確になるよう工夫する必要がある。
○ 社会福祉事業において一定規模になる事業については、必ずしも重要ではないという点についても明確にする必要がある。
○ 一般事業者の参入については、社会福祉事業の中には一般事業者が大幅に参入することが見込めないものもある、というのが適当な見方ではないかと思う。
(発言7)
○ 福祉の現場は小規模の単独施設が多く、人事も閉塞感があるということを理解してもらいたい。これを流動化させるためには外から供給してもらうという形も必要である。大企業を中心とした議論は福祉の職場ではそのまま通用しない。

(発言8)

○ 成熟社会は将来の発展があまり期待できずに、不安があるという状況を含んでいる。したがって、安心した社会にしたいというのがこれからの福祉の基本になると思う。「安心のある自立した生活」という面を打ち出す必要があるのではないか。
○自立した生活を維持するというと、最低限のものを確保するというイメージがある。今や個人の生き方は様々で、福祉サービスの選択の幅も広がるのだから、「律する」といった方が良いと思う。
(発言9)
○ われわれの町では「老後、安心して住めるまちづくり」を目標として掲げている。人としての尊厳あるいは自立を支援していくことに加えて、安心を入れてほしい。
○ 保健・医療・福祉の総合的サービスが、教育・住宅などの関連分野とも連携を図ることは大いに結構だが、生活との関連も含められないか。
○ サービスの質の確保については、介護保険制度でいっているケアマネジメントのような手法を導入する必要がある。
○ 介護保険等を通じて保健・医療職など他職種との連携が不可欠となる中で、介護福祉士について、現在、共通卒業試験などで質の向上を図ろうとしていることは、それでよいと思うが、将来的にみて同じ国家資格を試験により取得するものと試験が必要ないものとが同時に存在することは社会的評価を得る上で妨げになるのではないか。また、試験合格者とそれ以外の者との間で差別が起きたりしないか心配である。
(発言10)
○ 介護福祉士について、試験を受ける、受けないの前に、必要な知識をそもそも2年間で修得できるのかという問題がある。また、看護教育も、2年から3年、4年制大学といくつかあり、国家試験との関係も含め、教育課程についてはかなり慎重な議論が求められる。
○ 養成施設2年は、10年前の制度創設時の歴史的な過程の中で決まったことではないだろうか。最近では4年制大学や3年制短大も増えており、今後とも2年であるかどうかは別の問題ではないかと思う。
(発言11)
○ 50年前に社会福祉事業から更生保護施設を除外したという愚を繰り返すべきではない。社会福祉事業の範囲等の整理をしているが、従来の措置施設、無料低額の施設事業等の他に、新たに展開される介護保険施設事業も当然これにカバーされるということをはっきりさせる必要があるのではないか。
○ 社会福祉の基本的な理念である個人個人が持つ福祉ニーズへの適切な対応ということが、まずあげられなければならないのではないか。
○ 地域福祉計画の導入は重要なことである。高齢者保健福祉計画の策定は全市町村の義務になっているのに、障害者計画は任意であるため、実施率は30%くらいしかない。制度的に確立しようとするならば義務づけという法律上の整備がどうしても求められる。この辺について努力をお願いしたい。
○ 地域福祉計画の関連分野との連携の対象として就労、雇用を含める必要があり、これは、高齢者と障害者にとっては重要な問題である。
○ 地域福祉計画の策定については、第一線で最も問題なのは、過疎地、僻地離島など弱小市町村であり、これらの福祉の推進の方向は大変流動的である。広域的な他の自治体との共同作業、あるいは一部事務組合、広域連合といったものを視野に入れた地域福祉計画づくりを促進する必要があるのではないか。
○ 現在、各自治体には身体障害者、老人などについて10種類を超える各種相談員制度があるが、その活性化は重要である。各種相談員制度の活性化と民生委員・児童委員等との連携の強化を図れば、地域における相談窓口体制、とりわけ障害者の分野はケアカウンセリングなども受け持てる体制ができているので、新しい時代の福祉の地域への展開について役に立つのではないか。
(発言12)
○ 「働く」という日本語は「はたを楽にする」からきているという俗説がある。
 人に奉仕して自分も喜びを感じるというのは大事なことなので、お年寄りの就労は大変大事なことである。
(発言13)
○ 無料低額事業を考えるに当たっては、憲法89条の慈善・博愛事業との関係で、ボランタリーなソーシャルウエルフェアという部分での整理も必要ではないか。

6.日程等

次回は、5月26日(火)午前10時から厚生省特別第一会議室で実施することを予定していることを確認して閉会。

以上


問い合わせ先
 厚生省社会・援護局企画課
 電話 (直)03-3591-9867


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