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                                                    平成8年10月14日

                       医薬品副作用情報bP39号(概要)

1 インドメタシン ファルネシルと大腸炎

    該当商品名:インフリー(エーザイ)
           年間推定出荷額 約70億円(薬価ベース)
  インドメタシン ファルネシルはインドメタシンのプロドラッグであり,平成3年3
 月29日に承認された。本剤は,慢性関節リウマチ,変形性関節症,腰痛症,肩関節周
 囲炎,頚肩腕症候群の消炎・鎮痛を効能とする薬剤である。
  潰瘍性大腸炎の患者では,インドメタシンファルネシルの活性代謝物のインドメタ
 シンで,潰瘍性大腸炎を悪化させたとの報告があるので,「慎重投与」の項にその旨
 を記載して注意を喚起している。
  今般,インドメタシンファルネシルの投与中に,出血を伴った大腸炎が発現した症
 例が報告されたため,「副作用(重大な副作用)」の消化管障害として記載している消
 化性潰瘍,胃腸出血に,出血性大腸炎を追記するとともに,活性代謝物のインドメタ
 シンでS状結腸病変部位における穿孔の報告がある旨を追記して,注意を喚起した。

2 [解説]医薬品の適正使用のために
  塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品の適正使用について

  塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は交感神経作用薬として、鼻充血や結膜
 充血などを除去する目的で使用されている薬剤である。
  我が国では,PPAは,一般用医薬品として鼻炎用内服剤及び鎮咳去痰用剤をはじめ,
 感冒用剤に配合されており,医療用医薬品としては上気道炎治療剤があるが,米国で
 は我が国よりも効能の範囲が広くなっている。
  PPAにかかわる副作用は,「口渇,悪心,不眠,頭痛,めまい,動悸,神経過敏(
 不安,緊張等)」などがあり,アレルギー反応を起こすことがある。また,高血圧症
 や甲状腺機能亢進症のある人では血圧上昇があらわれやすい。
  今般,FDA(米国食品医薬品庁)は,PPAに関する警告表示を提案し,6ヵ月以内に
 使用上の注意を改訂するように勧告した(1996年2月14日)。この提案の警告表示にあ
 る「基礎疾患」,「副作用症状」及び「併用薬」は,我が国のPPA含有医薬品にあっ
 ても重要であることから,「使用上の注意」の改訂を行い注意を喚起することとした
 。

医薬品副作用情報
Information on Adverse Reactions to Drugs
No.139
目次
【情報の概要】
1 インドメタシン ファルネシルと大腸炎
2 [解説]医薬品の適正使用のために
  塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品の
  適正使用について
3 使用上の注意の改訂について(その99)

 この医薬品副作用情報は,厚生省において収集された副作用情報をもとに,医薬品の
より安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるもので
す。

医薬品対策情報の概要
No.1
医薬品 インドメタシン ファルネシル
対 策 使用上の注意の改訂
    症例の紹介
 潰瘍性大腸炎の患者では,インドメタシン ファルネシルの活性代謝物のインドメタ
シンで,潰瘍性大腸炎を悪化させたとの報告があるので,「慎重投与」の項にその旨を
記載して注意を喚起している。
 今般,インドメタシンファルネシルの投与中に,出血を伴った大腸炎が発現した症例
が報告されたため,「副作用(重大な副作用)」の消化管障害として記載している消化
性潰瘍,胃腸出血に,出血性大腸炎を追記するとともに,活性代謝物のインドメタシン
でS状結腸病変部位における穿孔の報告がある旨を追記して,注意を喚起した。

No.2
医薬品
対 策 使用上の注意の改訂
[解説]医薬品の適正使用のために
塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品の適正使用について

No.3 インドメタシンファルネシル他(22件)
  使用上の注意の改訂について(その99)


1 インドメタシン ファルネシルと大腸炎

 成分名                      成分名                   該当商品名
 該当商品名 インドメタシン ファルネシル       インフリー(エーザイ)
 薬効分類   消炎鎮痛剤
 効能効果   下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
            慢性関節リウマチ,変形性関節症,腰痛症,肩関節周囲炎,頚肩腕症候群

(1)症例の紹介
 インドメタシン ファルネシルはインドメタシンのプロドラッグであり,平成3年3月
29日に承認された。本剤は,慢性関節リウマチ,変形性関節症,腰痛症,肩関節周囲炎
,頚肩腕症候群の消炎・鎮痛を効能とする薬剤である。これまでに,本剤を服用中の患
者で出血性大腸炎等の薬剤性腸炎が3例報告されているので,その症例の概要について
紹介する。なお,本剤の活性代謝物であるインドメタシンでも,類似の潰瘍性大腸炎の
報告がある。
 報告されている症例は,肩関節周囲炎,脊椎管狭窄症の治療中に出血性大腸炎が発現
した症例,下肢関節痛の治療中に薬剤性腸炎(下血あり)が発現した症例,十二指腸び
らん,慢性扁桃炎を合併する若年性関節リウマチの治療中に薬剤性大腸炎(便潜血あり
)が発現した症例の3例である。副作用発現までの投与期間は16日〜7ヵ月,女性2例
,男性1例で,年令は16〜78歳であった。
 報告された症例の一部を紹介する(表1)。
(2)文献の紹介
 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)による大腸炎は,メフェナム酸,インドメタシ
 ン,ジクロフェナクナトリウム等で報告がある1)。
 発生機序としては,大腸粘膜のPG合成の抑制による粘膜防御機構,粘膜血流や粘膜修
復作用などの減弱,あるいは,アレルギー反応や腸内細菌叢の変化等の機序による可能
性が考えられている。
 出血性大腸炎については,広域合成ペニシリン等の抗生剤による例が知られているが
,NSAIDでも,メフェナム酸,フルフェナム酸アルミニウム等で文献報告がある2,3
)。

表1 症例の概要
No.1  患者
      性・年齢 女性61歳
   使用理由〔合併症〕肩関節周囲炎、脊椎管狭窄症〔高血圧症,高脂血症〕
      1日投与量・投与期間 400mg20日間
   副作用、経過及び処置  疼痛の改善のため,本剤及びアルファカルシドールを投
             与開始したところ,投与20日目の朝に,下腹部痛,下痢,
             嘔気,嘔吐が発現した。治療のため,20%グルコース,メ
             トクロプラミド,ドンペリドン,止瀉剤,生理食塩液,臭
             化チメピジウムを投与した。昼にも,下腹部痛,下血,嘔
             気があり,20%グルコース,臭化ブチルスコポラミン,ペ
             ンタゾシン,生理食塩液,臭化チメピジウム,維持液,マ
             ンニトール,メトクロプラミド,ジアゼパムを投与した。
             翌日の午前1時にも,腹部全体の疼痛,下血,下痢があり
             ,20%グルコース,臭化チメピジウム,ペンタゾシン,幼
             牛血液抽出物,ファモチジンを投与した。その後,大腸フ
             ァイバーにより,肛門より70cmのところにジワジワにじみ
             出すような出血を確認し,出血性大腸炎と診断した。3日
             後には,大腸ファイバーにより回復を確認した。 企業報告
   併用薬:アルファカルシドール,エストリオール,塩酸エペリゾン,イプリフラ
       ボン

(3)安全対策
 インドメタシン ファルネシルの大腸炎の発現機序として,大腸粘膜のPG合成抑制の
可能性が考えられるが,明瞭ではない。
 現在,潰瘍性大腸炎の患者では,本剤の活性代謝物のインドメタシンで,本疾患を悪
化させたとの報告があるので,「慎重投与」の項にその旨を記載して注意を喚起してい
る。
 今回,出血を伴った大腸炎の報告があったので,「副作用(重大な副作用)」の消化
管障害として記載している消化性潰瘍,胃腸出血に,出血性大腸炎を追記するとともに
,本剤の活性代謝物のインドメタシンでS状結腸病変部位における穿孔の報告がある旨
を追記して,注意を喚起し,本剤の適正使用を促すための情報提供を行うよう関係企業
に対し指導を行った。

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
〈インドメタシン ファルネシル〉
副作用
(1)重大な副作用
消化性潰瘍,胃腸出血,出血性大腸炎,S状結腸病変部位における穿孔:まれに消化性
潰瘍,胃腸出血,出血性大腸炎があらわれることがあるので,このような症状があらわ
れた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。なお,本剤の活性代謝物のインド
メタシンで,S状結腸病変部位における穿孔があらわれたとの報告がある。

〈参考文献〉
1)Gray, R., et al.:Arch. Intern. Med., 152:625(1992)
2)岩瀬正典他:Gastroenterol. Endosc., 28(7):1619(1986)
3)呉英美他:消化器内視鏡の進歩,33:314(1988)


2 [解説]医薬品の適正使用のために
2 塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品の適正使用について
 塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は交感神経作用薬として使用されている薬
剤である。PPAの薬理作用は,エフェドリンに似ており,エフェドリンより中枢性の作
用が弱い。循環器系への作用は心臓刺激や血管収縮による血圧上昇や脈圧増大があり,
鼻充血や結膜充血を除去する。心拍数は変化しないが心筋収縮力は増大し,心拍出量は
増加する。腎など内臓血流量は減少するが,冠・脳・骨格筋血量は増加する。平滑筋に
対する作用として弱い気管支筋弛緩作用があり,軽症の急性気管支喘息や慢性喘息に有
用である。他に,膀胱括約筋収縮作用があり,点眼では瞳孔を散瞳させる作用がある。
 我が国では,PPAは,一般用医薬品として鼻炎用内服剤及び鎮咳去痰用剤をはじめ,
感冒用剤に配合されており,医療用医薬品としては上気道炎治療剤があるが,米国では
我が国よりも効能の範囲が広くなっている。
 我が国ではPPAの1日用量(成人)は100mg/日,米国では150mg/日を限度としている。
 PPAにかかわる副作用は,「口渇,悪心,不眠,頭痛,めまい,動悸,神経過敏(不
安,緊張等)」などがあり,アレルギー反応を起こすことがある。また,高血圧症や甲
状腺機能亢進症のある人では血圧上昇があらわれやすい。
 今般,FDA(米国食品医薬品庁)は,PPAに関する警告表示を提案し,6ヵ月以内に使
用上の注意を改訂するように勧告した(1996年2月14日)。この提案の警告表示にある「
基礎疾患」,「副作用症状」及び「併用薬」は,我が国のPPA含有医薬品にあっても重
要であることから,「使用上の注意」の改訂を行い注意を喚起することとした。

   該当商品名
 一般用医薬品 鼻炎用内服剤 コンタック600SR(住友製薬)
              新コルゲンコーワ鼻炎ソフトカプセル(興和)
              パブロン鼻炎カプセルL(大正製薬)
              ベンザ鼻炎用カプセル(武田薬品工業)
              エスタック「ニスキャップ」(エスエス製薬)
              ストナリニ(佐藤製薬)
              スカイナー鼻炎用S(エーザイ)他
              鎮咳去痰用剤 コンタックせき止めSR(住友製薬)
              ストナコフキャプレット(佐藤製薬)
              ブロン錠12(エスエス製薬)他
              感冒用剤 ストナジェルサイナス(佐藤製薬)
              ベンザブロック(武田薬品工業)
              ベンザブロックSP錠(武田薬品工業)他
              医療用医薬品 上気道炎治療剤 ダン・リッチ(住友製薬)

(1)はじめに
 我が国では,交感神経作用薬であるPPAを配合した製品が多数発売されている。一般
用医薬品では,鼻炎用内服剤(最も多く市販されている)及び鎮咳去痰用剤をはじめ,
感冒用剤があり,また,医療用医薬品では上気道炎治療剤がある。
 厚生省では,今般のFDAのPPAに関する警告表示(表1)について評価し,我が国のPP
A含有医薬品の適正使用の対応策を検討し,使用上の注意に反映させることとした。
(2)検討の概要
 厚生省は,PPA含有医薬品の一つである鼻炎用内服剤に対して再評価指定(平成6年
2月1日付)を行い,安全性有効性の調査・検討の結果,適正使用のための添付文書(
使用上の注意)の改訂を行ってきた。
 PPA含有医薬品については,我が国においては最近の安全性情報の調査では重篤な副
作用はほとんど報告されていないが,米国では効能の範囲が我が国よりも広く,誤使用
等による副作用報告が多くみられている。
 このことから,我が国で特に一般用医薬品として多く販売されているPPA含有医薬品
の服用に際して,表1に示したFDAの警告表示の提案にある副作用「めまい,不眠,頭
痛,神経過敏,動悸」及びPPAの有する薬理作用から基礎疾患「心疾患,高血圧症,甲
状腺機能亢進症,排尿困難(前立腺肥大症)」に関する注意喚起をすること,また医療
用医薬品については併用薬剤について注意することが重篤な副作用の発現防止の観点か
ら重要なことと判断し,これらを添付文書に反映させることとした。
 なお,一般用医薬品におけるPPAの1日用量(成人)は,我が国では100mg/日,米国
では150mg/日を限度としている。
(3)安全対策
 添付文書の追記事項は《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》に示すとおりで,一
般用医薬品と医療用医薬品で注意項目や表現が異なるが,使用対象者に合わせた表示に
して「使用上の注意」の改訂を行い注意を喚起することとした。
 なお,一般用医薬品のPPA含有医薬品では,副作用症状の「頭痛」は,「頭痛」にか
かわる副作用症例の症状や感冒用剤の効能「頭痛」等を考慮して「激しい頭痛」として
表示することとする。

表1 FDAのPPAに関する警告表示の提案
・1日(24時間)量として,75mg以上服用しないこと。その量より多く服用した場合に
は,副作用を示すことがある。
・もし,次のような疾患がある場合には,医師の指示なしには服用しないこと。
  心疾患又は甲状腺疾患,高血圧,前立腺肥大症
・もし,次のような症状があらわれた場合には,服用を中止すること。
  神経過敏症,めまい,不眠,頭痛,動悸
 もし,このような症状が持続する場合には,医師に相談すること。
・次の薬剤とは同時に服用しないこと。
モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)(抑うつ症や精神病,あるいは情緒不安状態,
パーキンソン病に用いられている薬剤),又はMAOIの投与中止後2週間(もし,確信が
持てない場合には,健康管理の専門家に相談すること。)
アレルギー・喘息や咳・かぜの治療剤,鼻充血除去剤,又は体重調整剤(PPA,フェニ
レフリン,エフェドリン又はエフェドリン様薬),及び医師の指示のない処方薬

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
〈一般用医薬品(鼻炎用内服剤,鎮咳去痰用剤,感冒用剤:塩酸フェニルプロパノール
アミンを含有する製剤)〉
次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談すること
 ・心臓に障害のある人又は高令者〈感冒用剤に追記〉
 ・緑内障(例えば,目の痛み,目のかすみ等),排尿困難な人
 ・甲状腺機能亢進症のある人〈鎮咳去痰用剤及び感冒用剤に追記〉
 ・血圧の高い人〈感冒用剤に追記〉
服用に際して,次のことに注意すること
 次の薬剤と同時に服用しないこと
鼻炎用内服薬〈鎮咳去痰用剤及び感冒用剤に追記〉
塩酸フェニルプロパノールアミンを含有する内服剤(かぜ薬,鎮咳去痰薬等)〈鼻炎用
内服剤に追記〉
服用中又は服用後は,次のことに注意すること
本剤の服用により,発疹・発赤,・・・めまい*1,不眠,激しい頭痛*2,神経過敏
,動悸等の症状があらわれた場合には,服用を中止し,医師又は薬剤師に相談すること
。

*1(めまい)は,鎮咳去痰用剤及び感冒用剤では,下線を削除する。
*2(激しい頭痛)を記載する場合は,昭和53年2月13日薬発第158号「グリチルリチ
ン酸等を含有する医薬品の取り扱いについて」に係る(頭痛)は記載しないこと。〈鼻
炎用内服剤〉

〈医療用医薬品(上気道炎治療剤:ダン・リッチ)〉
相互作用
併用に注意すること
交感神経刺激剤[塩酸フェニルプロパノールアミンにより交感神経刺激作用が増強され
る。]

〈参考文献〉
1)企業報告
2)太田克久他:Jpn. Circ. J., 58(Suppl. III):860(1994)
3)Fallis, R.J., et al.:Neurology, 35:405‐407(1985)
4)FDA 21 CFR Parts 201 and 369:Fed. Reg., 61(31):5912‐5916(1996)
5)F D C REPORTS‐“The Tan Sheet”, 4(8):9‐10(1996)
6)F D C REPORTS‐“The Tan Sheet”, 4(23):5‐6(1996)

3 使用上の注意の改訂について(その99)

 本情報No. 138掲載分以降に改訂を指導した使用上の注意について,改訂内容,主な
該当商品名,参考文献等をお知らせいたします。
その2に続く
    問い合わせ先 厚生省薬務局安全課医薬品適正使用推進室
     担 当 山本、池田(内2756)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3595-2435
                  (Fax)3508-4364


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